玉能回路

週刊「玉能回路」は毎週水曜日更新です。


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本と資料

  1. 2014/10/29(水) 09:00:00|
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 黄色いガムテープの箱はみなし仮設へ、普通のガムテープは新築後すぐ使う大物家具や家電品、台所用品など。そして赤いテープは少し落ち着いてから運び入れる本や資料。その赤いテープの箱が3年ぶりに我が家に帰って来た。

本と資料_03

 箱には2階本棚3段目とか、ピアノの部屋本棚下の段、などと記載されているものの、もはや3年前の状況など思い出せるはずもなく、結局片付けより何より、まずは箱を開けて、中身を確認する作業から始まった。

 コンサートの企画を手掛けていた時の資料、大量の本、アルバムやビデオやカセットテープ、ピアノの生徒さんたちの成長の記録や発表会の写真、加えて、捨てるに捨てられなかった母の衣類や踊りのおけいこの衣装や小道具。2トン車から溢れるほどの段ボールがまだ残っていたことに驚いた。

本と資料_02

 これらを収めるところに収め、処分も決断し、段ボールをたたみ終えるまで、どれほどの時間と労力が要るのだろう。ばりばりに凝った肩や腰、たった数時間でガサガサになった手を見ながら、気持ちが折れそうになっている。

 が、その反面、何だろうと思う懐かしさや、すっとした気持ちも強いのである。一冊一冊、ひと箱ひと箱に、「お帰りなさい」と言っている自分がいるのである。ひとりっ子で大人の中で育った私に、本はかけがえのない友達だった。美しい装丁の本を手にするのは大きな喜びだった。旧仮名遣いの本はタイムスリップの魔法の杖だった。おっちょこちょいで記憶力に自信のなかった私にとって、本は力強い味方だった。その本が帰って来たのである。楽譜も資料も揃ったのである。

本と資料_01

 控えめで、力持ちで、頼りがいのある友達が何人も、いや何箱も何箱も帰って来てくれたのである。何かしたい、何か出来るかもしれない、そんな気持ちがムクムクと沸いてくる。

 震災以降ときれがちになっていたもろもろのこと、そろそろ復活の時なのだろうか。それにしても、なにより大事なものは気力体力、腰も指も傷めないよう用心に用心をして、開梱作業を進めよう。


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肉体改造

  1. 2014/10/22(水) 09:00:00|
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 お世話になっている乗馬クラブに、実にパワフルなホワイトシェパードがいる。昼間は係留されていて、行動範囲は限られるが、早朝や夕刻には綱を解かれ、広い馬場は勿論、裏山にも駆け上がり、その体力、脚力、瞬発力は見ていて惚れ惚れするほどだ。しかも、係留中にあたりに響き渡るほど大きな声で番犬の役を果たしていた同じ犬とは思えぬほど、おとなしく、うんともすんとも、いやワンとも言わず、ボール代わりの石を咥えてきては、放り投げてもらえるのを、じっと待っている。


 辛抱強く待つそのまなざし、より遠くに石を投げてくれる人の後を追って匍匐前進(ほふくぜんしん)する姿、何よりいざという時の機敏さ、その気力体力の10分の一でも分けてもらえぬものかと思わずにはいられない。

 我が家は震災で家屋全壊となり、建て直しまでの間、都合4か所に荷物を分散して預けた。大がかりな引っ越しの後も残した倉庫の荷物を少しづつ減らしてはきたが、最後まで運び込めなかったのが書籍、書類や記録資料、父母の遺品、などなどだ。預け入れから3年。今やもうそれが無くても生活は成り立っている。しかも納戸も本箱も食器棚もすでに満員御礼だ。

 となれば、取捨選択、こんどこその断捨離だ。テレビや雑誌で仕入れた整理術、断捨離のコツを総動員して、空きスペースづくりの毎日である。一日を円グラフにしたら、どれほどの時間が肉体労働になっているのだろう。いや、頭の中はどんな働きをしているのだろう。要る、要らない、以外の思考がすべてストップして、片付く荷物に反比例して、検討しなければならないことが山積していくような気がしてならない。

 匍匐前進も辛抱強く待つこともできないわが愛犬は、プチプチの緩衝材を食いちぎり、段ボールを引っ掻き壊し、お手伝いをしているつもりらしい。その片づけと静止に、またまた時間を取られてしまうが、泣いても笑っても荷物が届くまであと一週間、必至、必死の重労働だ。

 愛犬はお手伝いのご褒美をねだる。私にもご褒美が降って来ないだろうか。荷物スッキリ、体型スッキリ、となれば万々歳。散らかし疲れた犬の寝息を聞きながら5キロ、いや3キロ、と夢想の膨らむ私である。

肉体改造_01 肉体改造_02



台風一過

  1. 2014/10/15(水) 09:00:00|
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 何かあっては困るのだが、ただただひたすら、無事目的地に着くことを祈り続けた。スーパー台風が荒れまくる近畿地方へ向けて、仙台を早朝出発した大型の馬運車、運転するのは乗馬クラブのオーナー、馬と国体選手として選ばれた高校生二人も乗っている。本当に何かあっては困るのだが、そして慎重にも慎重を期して運転をしてくださる方への信頼は満腔(まんこう)という言葉以外考えられないほど、確かなものなのだが、それでもなお、台風情報から目が離せず、突風よ、吹いてくれるな、と祈らずにはいられなかった。

 無事中継地点に着いたとフェイスブックに書きこまれたのは、予定を何時間もオーバーしていた。すると、クラブメンバーから、つぎつぎと安堵とねぎらいのメッセージがかきこまれた。あぁ、みな同じ気持ちで、今か今かと一報を待っていたのだと、メンバーお一人お一人の姿が目に浮かんだ。そして、黙々と馬を馬運車から降ろし、プロテクターを外し、飼料を与え、水を準備し、防寒着を着せ・・・と、立ち働く遠征組の姿も、目に見えるように浮かぶのだ。きっとお留守番組のみんなも、馬の顔、人の顔を思い浮かべていたに違いない。無事の到着と、この不思議な一体感に胸が熱くなった。

 私は、様々な経緯があって、一時はもう馬には乗れないのかも知れないと思っていた。私の力量も年齢も、限界値にあったと思う。それでも馬と居たい気持ちを鎮めることは出来なかった。そして、なんという幸運か、受け入れて下さる先生と出会い、温かく迎えて下さる会員さんたちに出会えた。

 数日前、愛馬にブラシ掛けをする私に、あこがれのライダーである会員さんが声をかけてくれた「今度は玉能さんも試合に出ましょうよ、みんなで行くと楽しいから」と。ぷるぷるぷる、そんな技量はまだまだという私に、素敵な笑顔で彼女がこう言った。「大丈夫、試合って言ってもいろんなレベルがあるんだから」と。一緒に、といっていただけた嬉しさに、実は泣きそうになった。

 その嬉しさは、馬を見送り、馬と離れざるを得なかったカナシミを一瞬に塗り替え、心はまるで台風一過の青空のように晴れ渡った。初心者も挑める試合はともかく、まずは国体組の応援だ。我がクラブから先生をはじめ4選手が参戦だ。昨夜中継地点を出た馬運車の雲仙無事到着の知らせを先ず待とう。向こうも台風一過の青空に違いない。

台風一過_02  台風一過_01



見十方仏(けんじゅっぽうぶつ)

  1. 2014/10/08(水) 09:00:00|
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 「四方八方に天と地を加えて十方。その十方に仏様がいて、御仏の弟子になったばかりのおかぁさんを見守っている、そうゆう意味ですよ」3尺塔婆に書かれた「見十方仏」を読みかねている私にご住職が言った。

 霧が晴れるとも少し違う、漆黒の闇が煌々しい月明かりに変わる瞬間とも少し違う、なんとも表現しがたい、「あぁそうなのか」という安堵感が、からだにじわじわとしみこんできた。

 法要の日の朝にも驚くことがあった。まさかお盆の時のように薔薇が咲いていたりはしないだろうと見やった庭の草むらに大きな赤い塊。まさか、まさか地べたに薔薇が咲くわけもなしと近づいて目を疑った。細い茎には似合わない大輪の薔薇が一輪、静かに頭を垂れてた。

 母の命日。私の周りに何が起こり、どんな力が働いていたのかは予測もつかないが、母にも、ご住職にも、この一年私を支えてくれたたくさんの人にも、感謝の気持ちでいっぱいになった。

見十方仏_02 見十方仏_01



祥月命日

  1. 2014/10/01(水) 09:00:00|
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祥月命日_01 あと何年かしたら、母がもうこの世にはいないことをちゃんと理解できて、穏やかな気持ちでお供えをしたり、写真やお位牌に話しかけたり出来るようになるのだろうか。

 舅、姑(しゅうと、しゅうとめ)の臨終には立ち会うことができた。父も母も、別れを言うかの小さなサインを残して旅だって逝った。が、母はあまりに突然に、ふぃっといなくなった。私が、入院に必要な寝具や身の回りのものを調達に出かけたほんのわずかの間に、誰にも気づかれずに息を引き取った。

 葬式も、法事も済ませ、お盆やお彼岸の供養をしても、まだひょいと帰って来るような、電話の向こうで、葡萄がおいしいだの、栗が食べたいだの、日によっては足の痛みや、体調の悪さをこぼしたり、何より 「ごきげんよろしゅう」 としめくくる、あの美しい声が聞こえる気がしてならないのだ。

 今日は母の一周忌。 「夜爪は切るものではありません。親の死に目に会えなくなります」 と叱られた幼い頃のことを思いだした。








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